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ヴィベケ・リーセ女史のセミナーを終えて

ひと月前の 3月27・28 日

 

2日に渡って ヴィベケ・リーセ女史のセミナーを行いました。

交通の便の悪い会場にもかかわらず 遠方からの参加者様も多く来ていただき 

本当にありがとうございました。

 

風も穏やかで暖かく、桜も咲いて 外でのワークも楽しめる 絶好の天候の中で開催する事ができました。

 

 

【出逢いの森で ヴィベケ女史のセミナーを開催する】

 

飼い主の居ない、尤も人間の配慮とフォローが必要な空間で

生活している犬達の施設に動物行動学者が来て、何を想い、

何を感じるのか、犬達にどんなフォローをするのが最適なのか、

お聞きしたい事しかありません。

 

 

【1日目】

 

座学の後、実際に犬の動きを確認しながらのフィールドワーク

当然 人間の思惑通りには動いてくれません。

 

耳はどっち向いた?尻尾は?一瞬一瞬で 心も行動も変わります。

犬の気持ちを受け取り、動きやすい方法で誘導する。

目も耳も脳みそもフル稼働! 

 

 

 

お散歩中にスマホを見ながら、音楽を聴きながら、

ただ歩いているのでは 見逃してしまう事ばかりです。

 

そんなアドバイスを受けながら室内に戻り

今 外で見た事をビデオを見ながら復習をして終了となりました。

(外での質疑応答が大盛況だった為、振り返りの時間が短くなってしまいました。)

 

 

 

セミナー終了後 岐阜市の畜犬管理センターに同行していただき、

犬舎の中に入って見学をされました。

 

狭い犬舎です。

 

1頭1頭について説明をしますが、短時間で犬舎を出られました。目に涙を溜めて。。。

 

そして、代表田口に

『あなたをリスペクトしている、私には出来ない。辛すぎる』

 

その後 1頭の中型犬を犬舎から出し 見てもらうと『フリーにして様子を見たい』と

犬が入り込めそうな隙間の前に人間が立ち 寄ってきたら入り込まないようにさりげなく遮る。

 

人やカメラが並ぶ異様な雰囲気の中 中型犬は自由に振舞いました。

そこに人間は居ないかのように。

(その時 私達は「捕まえられるかな?犬舎にどうやって戻そう?」

そんな事を思いながら 自由を満喫する犬を見ていました。)

 

 

陽も落ち 真っ暗になってきて そろそろ終わろう という頃、

腰を屈めたら寄ってきて リードを付けさせてくれたのです。

 

普段から【犬に無理強いをさせない!】の積み重ねが生きていました。

 

 

その後 翌日のセミナー打合せ。

事前の打合せに不備があり、センターの様子のビデオは使えない!

用意してきた資料で進めたい!と。

(参加してくださった方は当日配布の資料を見ていただければ わかるように、

事前に 過不足無く伝わるような構成を作り上げられて来日されています。)

 

こちらの想いをお伝えし、「ホテルに帰って資料を確認して考慮してみるが、無理かもしれない」

という状況で1日目を終えました。


 

【2日目 】

打合せ前にドッグランで自由にしていた

保護犬プードルのナツローを見ていただく事が出来、

その後の打合せで 昨夜の畜犬管理センターの事も

ナツローの事も 織り込んでのセミナーに大幅変更をしてくださいました。

 

 

予め用意された資料と動画で進めた方が スムーズだし、

ヴィベケ女史の伝えたい事を正確に伝える確実な方法です。

 

 

でも、実際に目の前で犬の様子を見て、ヴィベケ女史の動作も見て、

変わっていく犬を自分の目でみる。

この経験が出来るのが このセミナーの醍醐味だと強く感じました。

 

『人間を信用していない』

 

センターの犬を見たヴィベケの言葉です。

 

それぞれ どんな風に過ごしてきたのか、

何がきっかけで人間を信用出来なくなったのか 分かりません。

 

だからといって 差し出す手を引っ込めてしまうのではなく、

どうしたら また信用してもらえるのか?

信用まで届かなくても 恐怖や不安を感じさせない存在になれるのか?

 

生き物相手の行動に一律の答えはありませんが

 

【相手を尊重し、心を配る】

 

ヴィベケ女史は犬にだけではなく、

セミナー参加者の人間に対しても一貫して この姿勢でした。

 

セミナー中の質問に対しても 逆に質問を重ねて細かな情報から

その個体に対して答えてくださいます。

 

これだけの経験と知識を持った講師の方であれば、

マニュアル的に答えた方が簡単だと思うのですが、

相手を尊重し よくある問題と一括りにするのではなく、

その子の問題として捉えてくださるんだと感じました。

 

 

動物愛護の考え方は様々で、

先進国だと言われる諸外国も宗教観の違い等から

日本人には受け入れられない部分もあります。

 

 

畜犬センターでの長期間の飼育は「虐待に近い」と口にされました。が、

それでも何が出来る?どうしたらいい?

に応えてくださる姿は 私達の活動の救いでもありました。

 

 

※ヴィベケ女史の助言で オモチャを入れてもらった子の画像を見てください。

 

 

 

オモチャもただ与えればいい 物ではありませんが

誤飲・誤食防止の安全策だけでは見れなかった笑顔です。

 

 

今回 通訳をしてくださった 持石さん 

センターにも同行いただき、感情的に辛い場面もあったそうですが、

冷静に客観的に通訳をしてくださり

伝えたい事が参加者の皆様に 伝わった事、心から感謝しています。

 

 

また次回来日の際にも 出逢いの森でセミナー開催したいと考えています。

 

 

参加された事のある方も、どんなかな?と

興味を持たれた方も是非 参加して体感していただきたいです。

 

 

 

ずいぶんと長文になってしまいました。

 

私は普段グルーマーとして 犬のトリミングを仕事にしています。

人も犬もそれぞれの個性に合わせた接し方が出来るように、

色んな考えに触れ引き出しを多くする事を意識しています。

 

人間の勝手で犬と暮らし、人間の勝手で改良を重ねてきた‘犬’

人間の思い通りに動かすのではなく、

人間が彼らの習性を学び、

人間社会で共に暮らす為のルールを伝える。

 

 

犬との生活は代わりのない かけがえのないモノだからこそ、

理解が深まり 犬も人間も幸せな日々を過ごせますように。

 

 

Happy Dog Teamは 犬と人との幸せな暮らしの為に、これからも活動していきます。

 

 

 

最後まで読んでくださり ありがとうございました^ ^ 

 

山口実穂